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酔狼通信 207

10. 9
 「288年目の秋」の巻

 18日。第三セクター天竜浜名湖線掛川駅。切符売り場に行くとJRとの連絡口からちょうどドダが出てきたところやった。「オッ!」「オ~!」改札を抜けるとホームに森田がいた。「誰も来ないから、日を間違えたかと思ったよ。」
 一両きりの列車は田園風景の中を走る。集合場所の遠州森駅まで25分。タケルが改札で待っている。

 駅前で哲が自転車を組んでいる。「遅れるって言ってたんじゃないのか?」「なんとか間に合わせたよ。タケルがいてくれて良かった。久しぶりで自分じゃ自転車組めなかったかも。」二人のそばには駅前の観光案内所のボランティアのおじさんが(あ、我々も立派におじさんなんやが)休み無く森町のPRを続けている。
 後から着いた三人もそれぞれ自転車を組む。しばらくすると、隣町の磐田の実家から走ってきたヒロノが現れる。次いでカンちゃん登場。カンちゃんは地酒を求めて掛川から走ったが、お目当ての酒屋は今日閉まっていたとか。これで七名。残りのマムシは豊橋から宿に直行する予定。

 同期がこんなに集まるのは久しぶり、02年の「タケルと飲んで走る会」以来。

 集合写真を撮ろうと、観光ガイドのおじさんに「シャッター押してもらっていいですか?」と頼むと「メガネを忘れて来たから駅長に頼むわ」と「駅長~、一分だけ時間くれんか?」で、駅長さんにシャッター押してもらって記念撮影。
 ヒロノの先導で走り始める。小国神社を目指すが、いきなりの坂。それもきつい。久々のサイクリングの哲は苦闘。
 峠を二つ越え、小国神社。神域の杉木立が見事。
  一旦県道に出るが、車が多い。坂を覚悟で山間に逃げ込む。少し上ると、こちらはトンネルがあり、涼しい峠越え。
 再び県道に出て、少し走ると天竜川の土手に出る。でかいな~。
 天竜二股駅の食堂で昼食。生ビールで「かんぱ~いっ!」うまいっ!病み上がりのヒロノはノンアルコールビール。「夜まで我慢するよ。」自然に話題は体調に。皆、あちこちガタが出始めているが、ま、年相応。こうして自転車持って集まって、若い頃のようにはいかないが、走れるんやから、マズマズ喜ぼ。

 天竜川を渡り浜北市。あ、今は浜松市か?車の少なそうな脇道を探しながらクネクネ、クネクネ。「お~い、マムシから『宿に着いた』って電話があったぞ~」早いな~。皆、「あいつはこうやって時間つぶしている」「いや、こうや」と勝手な馬鹿話。

 宿のある舘山寺温泉に行くには三方原を抜けて行くんやが、酔狼の頭の中には『台地』やということがポッカリ抜け落ちていた。けっこう坂あるな~。最後の小さな坂を登り切り宿へ。哲はご苦労さん。カンちゃん、ドダ、森田は余裕?
 宿に着くと、マムシは散歩中とか。部屋に入るとすぐにマムシが現れた。これで今回の八名揃った。「自転車で迎えに行ったんやが、遇わんかったな?」なんでやろ?ま、風呂、風呂。汗を流して5時からの夕食バイキングへ。

 生ビール。「かんぱ~いっ!」「乾杯!」グラスを合わせて、ビールを流し込む。うまいっ!サイクリング、風呂上がり、最高のメンバーで飲むビールはうまい。それから2時間、一瞬にして学生時代に戻って、馬鹿話。食って、飲んで、話して、笑って。食って、飲んで、話して、笑って。さすがに皆、酒量は減ったみたいやが、いっぱい食うなぁ。
 笑い疲れて部屋へ戻り、カンちゃん、哲の二人が近くの酒屋へ買い出し。サンキュ。誰かが「ハラハラするなぁ。」って。(あ、他の人には判らないけど、二人の名前は同じ「原」くん。)三十六年付き合って初めて出たジョークやった。
 買い出しの日本酒、ワインも空けて、森田の差し入れのつまみもおいしく、タケルはさらに宿の自販機で缶ビール買いに行った。メンバーの中で唯一酒の弱いマムシはいつも以上に全身真っ赤になって、うつらうつら。時折、目を覚まし、話にツッコミを入れる。

 八人、皆それぞれに歳を重ねたけど、変わり無いなぁ。根岸は今月初めに中国赴任になり参加できなかった。ムキンポ成田は学会で名古屋にいるとか。「名古屋なら、ここまで来れただろ。」「おっ、電話しようぜ。」で、酔っぱらいの電話攻勢。
 哲曰く「奥さんと電話で話して『変わりないですか?』って尋ねたら『変わりっ放しですよ』って『でも、それ知ってて結婚したんでしょ』」とのこと。相変わらず予測不能の行動パターンらしい。
 次いでアンクル今井くんに電話。元気か~。今井、また、機会作って会おうぜ。

 話題はいつのまにか、亡くなった二年上の西川さんに。HUCC入部当時の部長で皆、ずいぶん世話になったもんな。
 しばらくして、札幌の田中にと思うが時間が遅い。迷惑な時間やろ。で、どこでどうなったのか、後輩でドイツにいるO町さんに電話。時差があるから向こうは昼間やって理由。我々の代が三年目、HUCCの執行部のときに入部した唯一の女性部員、O町さんは、クラブのマスコット。いくつになっても皆、O町さんのことが可愛くってしょうがないんやね。酔っぱらいおじさん集団からの電話、ん~、喜んでくれたことにしよう。
 話は尽きないが、寝よう。マムシは再度、温泉に入りにいった。元気やな~。酔狼はマムシが部屋に戻ってきたのを知らない。


 19日。朝風呂。朝食バイキング。「酔狼は、朝早く起きて付近を散策したハズ」とはドダやタケルの見解。枕が変わるとぐっすり眠れない繊細な性格とは恥ずかしくて言えない事にしておこう。

 朝食も皆、ガッツリ食っている。中でもマムシは一人洋食メニューでがっつり食って、また新たにトレイを持ってきた。「皆が和食食ってるの見たら、うまそうやなと思て」さすがに食い過ぎやろ。

 9時過ぎ、出発。ホテルの前で記念撮影。 
pw20708.JPG
288年目の秋
 コースは昨日マムシが走ったコースを逆になぞって浜名湖畔のサイクリングロードを行く。車はもちろん対向する自転車もほとんどないサイクリングロード、二列になって、走るより話に盛り上がる。奥浜名湖をぐるっと廻り、一時間経ってようやく宿のそばにあった遊園地の観覧車が目の前に。ふぅ~。
(タケル撮影)
 さらに湖岸を走る。瀬戸橋を渡り、知和田の交差点。森田はここから正に昨日のマムシの逆コース、200m上って多米峠を越えて豊橋に出るそうや。朝まで同じコースを走ると言っていたタケルは、ついさっき楽な新居町コースに変更することにしたとか。信号待ちの間に森田と他のメンバーが握手し、見送ろうとしたら、いきなりタケルが「俺もやっぱり行くわ」って???
じゃぁな!
 で、結局、森田、タケルの二人を見送り、残りの六人は新居町を目指す。
 走りながら地図を見ていると手前の鷲津駅でも輪行できるやん。車の多い道路を無理して走ることもない。鷲津で輪行しよ。

 日影を探し、それぞれ自転車を袋に。駅にデポして、近くの食堂へ。軽くビールで今回最後の乾杯。新富士から車で帰るカンちゃんは麦茶で乾杯。

 鷲津駅で西へ帰るマムシと酔狼。ドダ、カンちゃん、ヒロノ、哲の四人は東へ。
じゃぁな!
 楽しかったな~。また、元気で、どこかでやろうぜ。75年(昭和50年)HUCCに入部してから36年目。50代になってこんな集まりができるとは。集まったのは八人で「288年目の秋」としたが、今回参加できなかった四人を入れれば「432年目の秋」。次回は何年目になるのか楽しみやな。

 皆、ほんの少しだけ飲める身体を維持しようぜ。走れなくても、ほんの少し飲めれば集まろう。頭空っぽにして、あの頃みたいに馬鹿話しようぜ。
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