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酔狼通信 276
19.12
平成3年(1991年)、青年海外協力隊に参加した際、東京広尾の訓練所で派遣前訓練を約3ケ月行った。中国、大洋州、アフリカへ派遣予定の約120名、3年度2次隊と呼ばれる同期。
切りがいいわけではないが、12月初めの土曜日に同期会が熱海で行われることになった。
協力隊員としてはほぼ零点の酔狼は当初参加を躊躇ったが、ついでに自転車持って行って走ろう、あ、箱根へ上ろう。ということで締め切り直前に参加表明。
どうせなら三連休にしよう。月曜に休みを取った。
しかし、金曜の朝になっても土曜の予報はしっかり雨。冬の冷たい雨は堪える。土曜は移動だけにしようと諦めたが、金曜仕事を終えてから予報を確認したら「曇り」に変わった。
7日。と、バタバタで、いつものように始発で播州赤穂を発ち、姫路から新幹線、名古屋で「こだま」に乗り継ぎ三島で下車。伊豆箱根鉄道で伊豆長岡まで。
自転車を組んでいたら、おじさん二人が寄ってきて雑談。食事できる所を尋ねたら「信号曲がった所にファミリーレストランがあるけど、他はなくなってしまったなぁ。」あ~、地方の小さな町はどこも同じやなぁ~。
早い昼食を食べ走り始める。1km余りで韮山反射炉。萩の反射炉へは行ったことがあるけど、韮山は初めて。しっかり観光地になってて、入場料500円。萩がただの公園だったのでビックリ!
反射炉を見学し、少し北へ。県道に出て急坂を上り始める。ほんの少し上っただけで汗ばむ。シャツを一枚脱ぐ。急坂は続く。車が多く走りづらいが、旧道に入ると一気に車が減り走りやすくなった。やれやれ。ここからはしんどいけど楽しいサイクリング。曇り空がちょっと恨めしいけど、雨よりは断然いいので愚痴は禁物。
休憩、保温ボトルのコーヒーで温もる。
じわじわじわじわ樹間の道路を上る。熱海峠(618m)へ。十国峠の展望は素晴らしいらしいが、天気も悪く諦める。いや脚もとっくに売り切れやったけどね。
セーターを着こみ、下のカッパも着て、ネックウォーマーでフル装備。
さあ、下り。いや~ぁ寒かった。下りは若い時から上手じゃなかったけど、最近はより下手になっているので、ゆっくりゆっくり。
道路脇に建物が続きだしても、まだ結構な標高がありそう。そこからも延々下りが続く。
やれやれ、なんとか下の道路に。熱海駅近くは大勢の人、人、人。
同期会の行われる貸別荘を迷いながら見つける。ここへ上がる激坂は押した。
時間はまだ3時前やけど、中を覗いてみたら、幹事の皆さんを含めもう10人余り集まっていた。場所の確認をして町を散策と思っていたけど、合流。
懐かしい顔、顔、顔。この日、集まったのは28名。派遣国マラウイから帰国後も付き合いのある者、SNSで交流のある者、マラウイ以来の者、訓練所以来の者、皆、懐かしい顔、顔、顔。一目で誰と判る顔、全然変わらない顔、一瞬誰?と思う顔、うわっ、変わったなぁ~という顔。元気な姿に自然に顔がほころぶ。
三々五々、参加者が集まる。派遣前訓練から28年、最年長の池田さん(自動車整備・マラウイ)68歳から一番若いのは、それでも50歳かな?年齢も様々、職種も様々で、それが訓練所の大きな魅力やった。酔狼は普段の生活、仕事では出会えない人達に出会えて、とても楽しかった。何より、皆、個性的やったからね。
温泉で汗を流し、5時過ぎかな?乾杯!
それぞれのテーブルで、あんな話、こんな話、テーブルを移り、あちらこちらで、現況報告、隊員時代の話、訓練所での話。あちらに移り、こちらに移り、相手を変えて、あっ、そんな事あったね、えっ?そんな事あったん?
幹事さんたちの準備してくれた、料理の数々、バーベキューで、干物、焼き鳥、野菜、ビール、焼酎、ワイン、アラビア語の瓶は何?
三年前に結婚した福ちゃん(電気工事・マラウイ)、澄ちゃん(森林経営・マラウイ)夫妻の25年に亘る長~~いエピソード、飛び交う質問。おめでとう~~
訓練所、三班だった鈴村くん(視聴覚教育・ニジェール)が訓練所の生活を撮影したビデオ上映。大爆笑。アホな事やっとんな~。って、酔狼も三班だったので、ときおり笑いの対象に。アホや~、アホや~、ま、今もたいして変わらんアホやけどね。
三班のアホ代表
鈴木くん(獣医師・ザンビア)、渡山くん(工作機械・ガーナ)、酔狼
一旦食器等を片付けて、その後も飲み会は続く。尽きぬ話、皆、よう飲むなぁ~。
楽しいけれど、じいさんはもう限界、眠い。12時前に部屋に戻り蒲団の中へ。宴はその後も夜半まで続いたらしい。
8日。
いつものように早朝目覚める。
リビングに降りると、井上さん(看護師・ソロモン)が、変わらぬ笑顔で「おはよう」「おはよう」。
少し肌寒いが散歩に出る。酔狼は日の出の太陽を求めて急な坂を登り、あちらへこちらへ。ようやく日の出の望める場所を見つけ、日の出を拝む。朝日、夕日は大好物。
貸別荘に戻り、井上さんに紅茶を淹れてもらい、あんな話、こんな話。
そうするうちに目覚めた順に、ぽつりぽつりと降りて来る。「おはよう」「おはよう」
あんなに飲んだのに、皆、平気な顔。妙に感心。
北野さん(理数科教師・コートジボワール)持参の大阪土産、「551の豚まん」昨日の残りの焼きおにぎり、スープで朝食。その間も話は尽きない。
壁際のテーブルの上には皆さんが持ち寄った各地のお土産がずらり。北海道から宮崎まで。遠くの皆さん、ご苦労様でした。
名残は惜しいが、酔狼、今日もサイクリングで箱根へ上がる予定。名残は惜しいが、時間も惜しい。皆さんに別れと感謝を告げ、貸別荘を後にする。皆、ありがとね。幹事の皆さん、ご苦労様でした。おかげで楽しい時間を過ごすことができました。また、元気にやってね~
後ろ髪を引かれつつ、急な坂を下る。JRのガードを潜り、下の道路に出たら現実に引き戻された。
国道に出て、まずは小田原を目指す。今日は昨日の曇り空と打って変わって快晴。海岸沿いのアップダウンを少し走っただけで汗ばんでくる。シャツを一枚脱ぎ、ネックウォーマーも外し、と、車の多いのが玉に瑕。ま、大観光地、熱海やからね。しょうがない。
湯河原、真鶴から旧国道の県道に入ると車の量がグッと減り走りやすくなる。しかし、予想していたけれど海岸沿いに坂が続く。と、思ったら旧国道は海から離れてしまった。あらら。
根府川で海岸線に降り国道に合流する。小田原市内、早川を渡り国道1号線に。車の多い1号線をしばらく走り、箱根湯本から県道に逃げ込む。
車の量は減ったけど急な上り坂が始まる。この道、箱根から ことはあるが上るのは初めて。四度目の箱根への上り、コースは全て違うが、このコースが一番きついかも。
箱根旧街道の石畳
酔狼、35年ほど前に籠を担いでここを登ったことがある。
じわじわ頑張って上っていたが、畑宿の下で力尽きる。迷わず自転車を降り押して上がる。
畑宿で昼食。そして寄木細工の見学。いつ見ても凄いなぁ。手仕事で、こんな事できるんやから。先人の知恵に感心させられる。
なんとか息を吹き返し、また走り始めるが、七曲りの途中でやはり力尽きる。今度は結構な距離を押して上がる。最後は勾配が緩くなり走って峠は越えたけど、都合四割くらいは押したかも。
石畳でハイカーのご夫婦に撮影をお願いした。
「はい、チーズ」「いや、もう今、涙しか出ぇへんわ」
下って芦ノ湖。箱根湯本から食事、寄木細工見物を合わせて2時間くらい。
絶景の富士山、芦ノ湖で休憩。
息を吹き返し、箱根峠への100m余りの上りへ。峠の上で上下しっかり着込み、三島へ下る。
三島への下りの途中にある山中城。ここを通ればこの城は外せない。と、意気込んだものの売り切れの脚で山城の斜面を歩き回るのはなかなか辛い。もう、脚パンパン。
それでも山中城の障子堀を見て回るのは楽しい、楽しい。天気は上々、富士山も大きくはっきり見られる。ラッキー。
さらに下り、途中から旧東海道に逃げ込む。激坂の下り、これは上れない。
三島に下って三島大社。
さらに清水町に入って柿田川湧水群。ここも絶対外せない。素通りなんて勿体ない。でも、少し時間が遅く光不足やった。もっともっと太陽の高い時間に来るのがよかったかな。
少し走って今夜は沼津泊。
早い時間の入浴、洗濯。早々に夕食食べて、疲れ果ててさっさと眠る。
9日。この日はおまけ。ほぼ休息日。
暗いうちに、すぐ傍の沼津駅へ。興津まで輪行。
興津で自転車を組み、夜明け前の町に。旧東海道のさった峠を目指す。さった峠は三度目。過去の二回はいずれも曇り空、富士の姿は望めなかった。天気予報は「晴れのち曇り」やったが、やはり雲が出ている。今日はどうやろ?
手前の橋で太陽が顔を見せる。
舗装道路の終点から擬木階段を自転車担いで登る。ふぅ~、脚パンパンやん。
少し頑張ればさった峠。
あ~あ。
残念ながら、富士山の頂上は雲に隠れて姿を見せない。あ~、海側は少し雲が少ないけどな~。
今日の目的はここ、さった峠だけなので、20分くらい雲が晴れないかベンチに腰掛け待つけれど、雲が動く気配が無い。天気ばかりはどうしようもない。昨日の快晴で良しとしよう。
富士の展望は諦め、由比宿に向かって下る。こちらはほとんど乗れるので、急坂にだけ気を付けてっと。
ず~っと下って由比宿、ここから次の蒲原宿まで旧東海道の面影が残る町並みをぶらぶら走る。
新蒲原駅に着いたのは8時20分頃。走り終わりの時間としては、破格のダントツ早い時間(これまでは10時頃だったはず、徳島県鳴門)。時刻表を確認し、輪行。
新蒲原―静岡=姫路―播州赤穂と乗り継ぎ14時前には帰宅。
同期会を企画してくれた幹事の皆さん、ごくろうさまでした。参加した皆さん、ありがとうございました。おかげで楽しい時間を過ごせました。
これからも元気に楽しくね。
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