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酔狼通信 284
21.11
先週、HUCCの先輩つったさんと泊りがけで走ったばかりなのに、というか、その際つったさんに大いに刺激を受け出かけることにした。
計画はいつもにも増してずさん。天気予報を睨んで金土日の二泊三日。コースも無理矢理ひねり出した。宿の手配も前日朝。
19日。始発で相生、岡山経由で高松へ。朝日を受ける瀬戸大橋線はいつものことながら、ワクワク期待で胸が膨らむ。
高松駅で自転車を組み走り出す。何度か走ったことのある仏生山へ抜けるルート。高松市内の幹線道路はさすがに交通量が多く、少々走りにくい。でも裏道も今回感じたのは路面がけっこう傷んでいるなぁ、と。
仏生山から国道193号に出て、塩江、350mほどの峠を越えて徳島県美馬市へ下る。
何度目かの脇町、うだつの町並み。金曜日、平日とあって観光客も少なく、町並みを満喫する。訪れたことのある重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)の中でも酔狼の中では特Aランクの地区の一つ。
すぐ近くの吉野川に架かる潜水橋を渡り貞光へ。こちらは二層うだつが特徴的。あれこれ悩んだ挙句入った食堂は「今、電話で予約が入って今日の分は終わってしまった」という残念なことになる。
仕方なく先へ向かうが手ごろな店が無く、少し走った半田の町のお好み焼き屋へ。缶ビール350mlで我慢する。ま、気温が低いだけの話やが。
国道を避け、再度吉野川を渡り北岸へ。堤防や田舎道を走って、また吉野川を渡り「加茂の大クス」。今日のコースはどこも何度か走ったことのある所やけど、どこも再訪したくなる場所。お気に入り。
加茂の大クスは素晴らしい。先年、山口県の を再訪し、枯れかかっている姿を見て残念に思っていただけに、変わらず見事な枝ぶりのクスの木を見て心が和む。大クスの樹下でしばし休憩。そろそろ脚にきている。
大クスの先で、またまた吉野川を渡り北岸へ。旧池田町へ入り、また橋を渡り、短いが国道を走って池田の町へ(現三好市)。
4時過ぎに宿に着くが、屋内に入れたものの玄関先に「近くにいます。御用の方は090-‥‥に電話してください」の張り紙。
ご存知の方はご存知でしょうが、直立猿人酔狼は携帯電話・スマートフォンなど持たないので連絡しようがない。ま、腰掛もあるので列車内用の文庫本を広げ待つことにする。久しぶりに一瞬携帯電話が欲しいと思った。
30分ほど待って、ようやく宿の方が帰ってきて部屋へ案内してもらう。
風呂に入り汗を流す。コインランドリーで洗濯。素泊まりなので近くの店へ出かける。案内では「田舎料理」とあったが、居酒屋というかスナックというか、んん~、6時を回ったばかりなのに、すでに出来上がったオッサンがいた。宿でもらった「トラベルクーポン」も使えず、ちょっとがっかり。
宿に戻り、早々に寝る。
20日。
池田から吉野川を少し遡り、祖谷口から祖谷渓を少し入り、そこから支流の松尾川沿いに上っていく。このコースは今回地図を睨みながらひねり出したコース。ぐるりと走って、また池田に戻り今夜は別の宿に泊まる予定。
松尾川沿いの県道はほとんど車は来ない酔狼好みの道やったが、谷が深く、あまり陽が射さず、短いが急な坂を上ったかと思うと、少し下るを繰り返す。思った以上に疲れた。
池田がほぼ標高100m、出発が8時すぎ、35kmほど走った標高700m付近で11時。コンビニのお握りで昼食。ここまでの下っては上り返しがきつかった。余力無し。
ここからは比較的緩やかかだったと思うが、脚にゆとりが無く、標高800mの先と1000m付近で少し自転車を押す。「こんな所で自転車押すんか」と情けなくなるが、それが今の力。ま、それも楽しんでいる。
なんとかかんとか標高1116mの水口峠には12時少し過ぎ。やれやれ。
上下一枚づつ着込み、下りの寒さに備える。長い長い下りを下って井川町。井川町の多くの地区は四国の山に特徴的な山の高い斜面に家々が点在する。車のある現代でも生活は大変そう。昔は本当に自給自足の生活やったんやろなぁ。
下り疲れて吉野川沿いの国道に。池田の町に早々に帰り着く。三好市内の案内地図に出ていた大西城跡に魅かれて諏訪神社へ登る。遺構は何も確認できなかったが、神社横の公園のベンチで、ほんの少し昼寝。ツーリング途中の昼寝は久しぶり。
洒落のつもりで寝ころんでいる写真を撮ったが、この後本当に15分ばかり眠ってしまった。
時間もまだ早いので以前も訪れたことのある「うだつの家たばこ資料館」へ。煙草商家の離れの床の間にある「タガヤサン(鉄刀木)」が強く印象に残っている。タガヤサンは唐木の一種。紫檀や黒檀などと同じ南洋産の銘木やね。材は硬く重いため「鉄刀木」の字が当てられたそうや。
ここでタガヤサンの床柱を見たと思っていたが、記憶違い。床柱を見たのは
いい時間になったので宿へ向かう。吉野川を渡り、川岸から斜面を上がる。地図を読み込んでなかったので、宿までの急坂が疲れた脚にこたえた。今日の宿は二食付きなので良かった。食事のために、この坂をもう一度上るのはかなわんからね。良かった~。
風呂、洗濯、ビール。少し早い時間の風呂とビールが自転車ツーリングでの酔狼の楽しみ。
6時からの夕食も15分くらい前に「できましたよ」と。早速、ビールと共においしく食べる。朝食はお遍路さん向けに「5時からでもできますよ」と。じゃ、6時でお願いします。お遍路の女性は宿のおばさんに「雲辺寺へ行くなら5時に食べて6時半には出発しなさい」「6時半だとまだ暗いんじゃないですか?」「大丈夫」と、もう少し遅く発ちたい女性客はムニャムニャムニャ。
この日も早々に寝る。
21日
6時に食堂へ行くと、女性客がちょうど食べ終えていた。はてさて何時に発ったのやら?
酔狼も早い朝食を済ませ、7時20分頃かな、宿を発ったのは。
吉野川左岸をそのまま走り、国道32号旧道を箸蔵寺へ。当初の計画では急坂を自転車で上り仁王門まで行こうと思っていたが、昨日も宿でもらった「三好市トラベルクーポン」が箸蔵寺ロープウェイで使えると知り、ロープウェイを利用することにする。往復1700円。二泊でもらったクーポン4枚のうち2枚は活用できた。
幸い、始発の8時の便に滑り込み山上へ。所要時間4分。
石段を登り本殿へ。神仏習合の名残、お寺だけど本殿。紅葉がきれいや。酔狼、信仰心は皆無やけど、旅の安全を感謝して手を合わせはする。
速足で山上を巡り、30分発のロープウェイで下山。ここから今日のサイクリング。
香川徳島県境の峠は、それなりに走ったけれど、国道32号は幹線道路で交通量が多いので敬遠していたが新しいトンネルができ昨年末開通したので今回走ってみることにした。
車のほとんど来ない広い道路をたらたら上る。勾配はさほどきつくない。でも車が多ければ、やはり走りたくはないな。
半分ほど上ったところに「坪尻駅 600m」の標識。坪尻駅はいわゆる秘境駅。駅の周辺にはまったく民家は無い。旧国道32号(現県道5号)からも山道を歩いて行くしかない。
酔狼、自称小鉄ちゃん。箸蔵寺の石段も登ったけど、まだ脚にも気持ちにも余裕がある。行ってみるか~
猪の掘り起こした跡があちこちにある山道を10数分下って川の流れの音が聞こえだしたら坪尻駅。
坪尻駅はスイッチバックを利用した駅で、特急列車は本線を一直線に通過する。普通列車の一部も通過する。「一部の普通列車が停車する」が正解かな。駅の時刻表より鉄道マニアの事故防止用の通貨列車の時刻表の方が賑やかや。
通過列車の時刻表を見ると、5分ほどで下りの特急列車が通過する。待つうちに高松方面のトンネル内にライトが見え、トンネルから姿を現した特急列車はあっと言う間に坪尻駅を通過し高知方面に消えていった。
左:本線は左から右へ一直線に。通過列車はそのまま進み、坪尻駅に停車する列車は奥左手の引き込み線に入り、バックして柄右手手前の駅に停車。その後、本線に入り高知方面に向かう。
酔狼、マニアではないので秘境駅に長居はできない。山道をまた10数分歩いて舗装道路に戻る。
残りの坂を上り猪ノ鼻トンネルに。特に眺めがいいわけでもなく、今は交通量の少ないことが取り柄の峠かな。
800m余りのトンネルを抜け、香川県側の急坂を下り、新道と合流する。交通量が増え、やはり少々嫌になる。予定では琴平まで国道を走るつもりでいたが数kmで県道に逃げ込む。
あとは県道をひたすら丸亀まで。この県道も路面の悪いところが気になった。途中、うどん屋が何軒も目に入り、温かいうどんが食べたくなるが、駐車場の車の多さに足が遠のいてしまう。
丸亀城。丸亀に来たら、やはりここは外せない。石垣は見事。一見の価値あり。お勧めです。急坂を登り石垣を眺める。
駅へ。駅近くの御当地グルメ「骨付き鶏」の店で昼食、ビールと思っていたが、人気店なので、店先で写真を撮ってる人たちがいて、ここも酔狼は敬遠してしまう。
駅前で自転車をばらし輪行袋に入れ、駅前の食堂へ。酔狼、こういうところの方が落ち着く。カツ丼、ビール。あ、カレイの煮つけ定食なんてランチメニューがホワイトボードにあったんや。と、ほんの少し後悔。瓶ビール大で、いい心持ちで車窓の人に。行きは朝日が眩しかった瀬戸大橋も今日は薄曇り。楽しい旅を、今回もありがとう。
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