top of page
酔狼通信 5
87.4.24
travel    v. 旅行する  n. 旅行
 HUCCのOB大阪、春のラン。今回は参加者が少なくて、走るのは老師と酔狼の二人だけ。特急雷鳥は敦賀駅にすべり込む。小浜線に乗り換えて美浜で降りる。(ところで新生JR軍団。播州赤穂駅で切符を買ったら、京都で新幹線から特急に乗り継ぐのに、間違えて新大阪からの特急券を渡された。めんどうなのでそのまま乗車した。相生駅の改札で呼び止められ、「さっき赤穂駅で間違って切符を売ってしまいました。これが正しい切符です。すみませんでした。」と、切符と差額の300円を手渡された。ずいぶん列車は利用しているが、こんなに親切なのは初めてだ。JR軍団には少し期待できるようだ。)
 と、いうような滑り出しで今度の旅も始まった。天気は上々、ビール日和。美浜駅で自転車を組み立てる。老師はさっそく競馬新聞を片手に電話ボックスへ駆け込む。三方五湖をめぐるレインボーラインへ向かう。入口の坂で老師が変速しようとしたとたんワイヤーが切れる。老師愛用の自転車は14年目。壊れていないのはフレームと変速機だけ。老師はこの後、前の変速機だけで走ることになる。おまけにレインボーラインは自転車通行禁止。しぶしぶ引き返す。と、幸先のいい走り出し。
 今度の走りは決まっているのは宿だけという老師と酔狼のいいかげんな師弟のいいかげんなサイクリング。しばらく走ると酔狼の前輪がパンク。スペアタイヤを取り付けてエアを入れると、これがパンクしていた。えぇぇ~スペアタイヤは2本持っているのでもう1本を取り付ける。これは新品なので大丈夫。だけどこれでもうスペアは無し。もうパンクはできない。もうパンクはできない。モウパンクハデキナイ‥。まあなんとかなるさと走り出す。レインボーラインがだめなので海沿いの細い道を行こうとするが、土地の人に歩いても無理だと言われ、ここも引き返す。
 国道はけっこう車が多く、老師は走りたくない様子。地図の上、点線の道を指さして「少しくらいかついでもいいから、この道行こうよ。」「もうパンクできないから良い道走りましょうよ。」「・・・・・」「‥‥‥」「・・・・・」「‥‥‥」老師の言うことには絶対服従の師弟関係。梅林の中、山中へ進んでいく。そして地道。道は山の中へ消えていく。またまたこの道も引き返す。パンクしないようにそろそろ。路面の悪いところは自転車を降りて歩く。大丈夫かなと思い自転車に乗ったとたんパンク。シュシュ~。
 老師はさっそく三方の町まで先に走りチューブラータイヤ(ロードレーサーなどに使用するちょっと特殊なタイヤ)を探してくれる。酔狼は町まで自転車押してテクテク。農道とはいえすれ違う車もある。(俺は好きで歩いているんだ)とばかり精一杯胸張って歩く。田んぼの向こうに三方の町が見える。あぁぁ~。町まで40分。老師の必死のタイヤ探しも赤穂同様の田舎町ではチューブラータイヤを知っている自転車屋も無く、「もしもし、えっ?はいはい、チューブならありますよ。」ガチャン。といった有様。
 あきらめてパンク修理をすることにする。パンク修理には針と糸が必要なので買いに行が無い。」と、同じ台詞を店を出るまでエンドレスで繰り返す。とりあえず、店にあった一番太い針と糸を買ってパンク修理をすることにする。2本のタイヤを修理するのに1時間弱。あぁぁ~パンク修理しにきたんじゃねぇぞ!
 後はひたすら宿を目指す。若狭街道から少しはずれたところで、歩いている老師の奥さん知津子さんに出会う。仕事を終え、大阪から電車とバスを乗り継ぎ街道のバス停から宿まで歩いているところだった。カバンの中には越後の銘酒「越の寒梅」が入っていた。「越の寒梅」は老師が長岡で行われたツッタ氏の結婚式の引き出物として頂いた貴重な一本である。川沿いの静かな道を三人でぶらぶら歩く。河内鉱泉藤野屋はひっそりと古びた建物だった。歩けばギシギシと音のする二階の部屋。虫の多い季節ですみませんと、おかみさんが言うように、いくら窓を閉めていても次から次へとカメムシがやってくる。ところがこのカメムシ、捕まえようとすると、少しも逃げずにあっさりと捕まる。臭いが強いのでそれだけが要注意。
 鉱泉に入り汗を流したところへ神戸から野田、奥山の両君が到着。さっそくビールで乾杯。奥山君は自称130㎏の巨漢。いやはやすごい。飲む。語る。飲む。いい気持ち。天井裏でガサガサドタドタと音がする。ムササビが巣くっているんだそうだ。と、言った瞬間、窓の向こうへムササビが飛んだ。四肢をいっぱいに広げて。部屋の灯りで闇の中ムササビの姿がくっきりと浮かび上がった。感激。今日の数々の失敗は全て吹っ飛んだ。
 巨漢奥山君、「近頃、変な癖ついちゃってダメっすよぉ。右手で酒飲むと、小指が立っちゃって!」と、左手で右手の小指を折る。いやいや、その姿のおかしいこと。
 酔いにまかせて表へ出れば、夜空に星が☆★☆★☆★☆★。ここでは街灯がじゃまだ。
 翌日はレンタサイクル借りて、ぶらり五人でサイクリング。寺の本堂で奥山君、小山のように寝転がって坊主に怒られる。他の四人は必死に笑いをこらえる。三重塔。
  小浜で遊覧船に乗る。自転車に鍵をかけようとダイヤル錠を酔狼が出してくるが、普段鍵など使わないからダイヤルの番号が思い出せない。間の抜けた話。
 レインボーラインを走れなかったからと車のルーフに自転車積んで、車で今度はエンゼルラインを上る。130㎏の奥山君を乗せた車は実質六人。エンジンはフル回転。景色はGood。下りはエンジンブレーキがきかない。
 琵琶湖畔近江今津まで車で送ってもらい、そこから列車に乗る。じゃぁ、またな。
trouble   n. 苦労、骨折り  v.  困らす、‥を悩ます 
 今回の酔狼通信は英語のtroubleという言葉について勉強しました。しっかりと覚えて下さい。また、間違えやすい言葉にtravelという言葉がありますが、その区別をしっかりとしてください。
bottom of page