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酔狼通信 269-1
18. 5
 4月28日。
 始発で米原から岐阜へ。

 

 自転車を組み、サイドバック、サドルバック、そしていつものフロントバックを取り付ける。一仕事。
 まずは駅の南、加納城へ。えっ?岐阜なら岐阜城やないん?って?いや、山の上の岐阜城は元は稲葉山城、信長が築いたのが岐阜城。で、江戸時代には平野に下りてきて加納城。
 加納城を後にハンドルを北に向ける。長良川を渡り、旧道を北へ。いいかんじの店で昼食。10kmも走っていないが当然ビール。
長良川 鵜飼い船
 小さな坂をふたつ越え、長良川水系板取川を遡る。車の少ない快適な道路。長いトンネルを抜け長良川本流郡上八幡へ。

 名水「宗祇水」をペットボトルと自転車のボトルに入れ、自炊に備える。
左:宗祇水
 郡上八幡からさらに北へ。国道の反対側右岸を遡りながら、今夜のねぐらを探す。

 

 堤防の一段低くなったところにテントを張り寝る。 
 夜通し川の流れる音が子守唄。
 29日。
 早朝、走り始める。
田んぼに水が張られ、あちこちで見事な水鏡。
 少し走り、白鳥の町中を抜ける。
 さて、ここから油坂峠の上りが始まる。ずっと気にかかっていた峠のひとつで、ようやく走ることができた。峠はそこそこの勾配やけど、新しい自動車道ができており、車はほとんど通らないので自転車は快適に走れる。
 峠のトンネルを抜けて下り始めたら山菜採りのご夫婦。「コシアブラ」を採っているそうや。油坂峠でコシアブラ採り?と、ちょっとうける。

 

 少し下って九頭竜湖。九頭竜湖は大きいので湖岸をほぼ10km走るんやが、けっこうアップダウンがあり、酔狼には堪える。おまけに雪国の道路は傷みが激しい。路肩を走る自転車にはつらい。太いタイヤでも気になるから細いタイヤの自転車にはキツイやろなぁ。
右:九頭竜湖駅
今回、なぜか終着駅ばかりに出遭う
 九頭竜ダムのすぐ下に鶯ダム、そしてその下にJR九越美北線九頭竜湖駅。終着駅。油坂峠を挟んで越前と美濃を結ぶ計画だったとか。本気やったんかな?今の終点の九頭竜湖駅までの勾配でも機関車にとってはキツイやろうになぁ。
 九頭竜湖駅からの道路も路面は傷み、車は多くと快適な下りとはならなかった。
 
 大野盆地の開けたところに出て、ちょっとホッとした。
 三度目の大野で、やっと大野城へ登る。城山の森にはカモシカも棲んでいるそうや。町中にこうした緑が多く残るのは素晴らしいね。
 昼食、九頭竜マイタケのザル蕎麦とビール。ビールがうまい。
 越前大野も湧き水が豊富。今日の水はここで補給。
 越前大野から勝山へ。
 勝山や福井市はかつて機織りで栄えたところ。昨年、外観だけしか見られなかった「はたや記念館」へ。記念館の中には機織り機が展示され、なおかつ運転展示されていて、とても面白かった。係のおねえさんが丁寧に説明してくれた。
 当初の酔狼の緩~い計画ではこの辺りで二泊目になるんやけど、早朝から走ったおかげで、峠を越えて石川県白峰まで行けそうな感じ。買い出しを済ませ峠を目指す。勝山から白峰に抜ける谷峠もずっと気にかかっていた峠のひとつ。
 
 上りの途中に「ミチノクフクジュソウ」の自生地の看板。迷わず休憩。
 なんとか峠を上りきり白峰への長く快適なダウンヒル。

 

 白峰の町はずっと以前、ACCの鉄工所と無計画に永平寺、白山スーパー林道(自動車専用道)を計画し、谷峠は車で越え、白峰の温泉街で宿を探すが、祝日がらみで空きなく、二日続けて車中泊。夕食に食べた「固豆腐」と早朝散策した町並みの暗渠を流れる水の音が印象に残っている。最近、重要伝統的建築物群に指定されている。

 

 まずは立ち寄り温泉「総湯」へ。二日分の汗を流し、さっぱりする。
白峰の集落
 町並みをほんの少しぶらつき、白峰の町を後にする。
 そこからの手取湖(手取ダム)沿いの道はトンネル、スノーシェッダー、シェッダー、トンネル、シェッダー、トンネル、トンネル、シェッダー、トンネル、シェッダー、トンネル、トンネル、トンネル、トンネル、トンネルと続き、今夜のねぐらを探しながら疲れた脚に鞭打って、小さなアップダウンを走る。

 

 ダムサイトでテント泊。ビールを買いそびれてしまったが、あきらめる。
夜のダムサイト
​月と管理用建物の明かり。手前が光っているのはヘッドライトの明かり。失敗!
 30日。
 手取ダムから一気に下り、旧吉野谷村、旧鳥越村と軽快に下り釜清水地区の名水「弘法水」で水を補給。早々と水を確保する。
 「弘法水」からすぐそばの鳥越城へ登る。登城の途中の斜面に咲くいろんな花が楽しい。
 鳥越城は戦国時代の山城。加賀一向一揆の拠点だそうです。
 さて、ようやくサイクリングの開始。って、すぐに白山比咩(しらやまひめ)神社へ。加賀國一宮。サイクリングの途中で一宮に出遭うとHUCCの先輩、門岡さんを思い出す。
白山比咩神社参道
 白山比咩神社から下って北陸鉄道旧加賀一の宮駅跡。かつての石川線の終着駅、今は鶴来駅が終点。かつてはさらに上流の鳥越村まで線路は伸びていたらしい。きっと今朝下りに走ったサイクリングロードがかつての金名線の廃線跡かな。
左:旧加賀一の宮駅​             右:今の終着駅、鶴来駅
​ 山中から流れ出た手取川は鶴来の町で一気に金沢平野に流れ込み、見事な扇状地を作っている。一気に空が広くなる。
 5万分の一地形図を読むと、散在する集落に「島」と付いた地名が多く見られる。
 扇状地の中を西へ北へオリエンテーリング。進行方向によっては横風が強く危ない。
 目指すのは協力隊の友人、     の故郷、笠間町。特に何があるわけではないが、すぐそばを走るので、イチビリ精神丸出しで寄っとこぉ。

 

 笠間町、加賀笠間駅を後に松任市街を目指す。あ、今は合併して白山市やね。
 国道8号線に出るコンビニでサイドバック四つの休憩中のサイクリスト発見。しばし、談笑。日本一周中だとか。3月中旬、滋賀を出て本州を青森まで北上、現在、日本海側を南下中だそうだ。30歳の青年で、これまでは歌手をしていて、次の仕事に向かうまでの間、「自分探し」の旅なんだそうや。
 もう、しっかり自分を持っているようにも思えるが、旅も人生も焦らず、ゆっくり歩んでほしいものや。事故の無いようにね。YouTubeで日本一周の動画をアップしながら走っているそうや。         で検索してみてね。

 

 でも、今日もこれから100kmほど走り福井市まで行く予定だそうや。「それって、全然『なめくじ』ちゃうやん!」兎に角、事故の無いようにね。
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