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酔狼通信 292-2
23.05
なぜか写真の取り込みができなくなってしまった。
問題が解決するまで文章のみになってしまう。
​読みにくいことこの上ないが、ご勘弁を。
 4月30日。
 朝、雨は上がった。昨日もっと小降りでテントを張っていたら、今日はテントでぐだぐだ過ごそうというプランも頭の中にあったけど、8時半にはライダーズインを追い出されてしまう。
 その前に、昨日これもサボってしまった洗濯、乾燥をする。まったく昨日は頭が回っていなかったな~。
 自転車の泥を大まかに落とし、各部に油をさして走る準備をする。
 
 テントを張っていたら、荷物をそこに納め自転車を軽くして四国カルスト、地芳峠(1080m。梼原の町中が412m)へ上ることもできるが、今日はサイドバックを付けたまま。乗って上がる自信は無い。もし、今日上れんかったら、荷物置いて明日またチャレンジしようかな?

 

 とりあえずスーパーでお握りの買い出しと思ったら、平日8時半開店が、今日日曜は9時開店。そうか、世間は今日日曜か。急ぐわけではないので開店までの時間つぶしにすぐ近くの古い芝居小屋「ゆすはら座」を見物に行く。幸い、ここは開いていて中の見物ができた。

 

 9時少し前に開店したスーパーでお握りとおやつを買い込み広い道路を走り出す。
 ゆっくりゆっくり最後の集落永野、峰の段の下で国道は長いトンネルで四国カルストの下を抜け愛媛県に入る。
 そのすぐ手前に地元の販売所があるので休憩、休憩。温かいコーヒーをマグボトルに入れる。
 販売所の方や地元の爺さんと雑談。「カルストへ上がるの?大変ですよ。」「とりあえず行ける所まで行ってみます。乗り切る自信はゼロです。押すのも大変なら降参して引き返してきますよ。」

 

 走りだすと、すぐにトンネルに向かう国道と別れ、旧道は一気に狭くなり集落の中の急坂を上っていく。一気にギアは一番軽くなる。それでも集落の最後、数10mは乗って走れず自転車を押す。

 

 思ったよりも自転車を押すのが早かったなぁ、これは降参かなぁと思っていたが、少し自転車を押したら勾配が少し緩くなったので、気を持ち直して、また走り出す。行ける所まで行ってみよう。時間はたっぷりあるからね。旧道への分岐から地芳峠まで約8km。空身なら歩いて2時間かなどと思いながら、じわじわじわじわ高度を稼いでいく。
 15分毎くらいに短い休憩を入れ、なんとかかんとか上っていく。古い五万分の一地形図を読み、今はここのコーナー、あと少し頑張ろうと自分に言い聞かせ、じわじわじわじわ。高度が増すと道路わきに素人目にも石灰岩と判る白や灰色の岩が目につくようになる。

 

 旧道の分岐から1時間余りで地芳峠にたどり着く。「峠に上がればカルスト地形」を頭に描いていたが、峠付近は木々が繁り、草原の中に白い石灰岩が点在する風景ではなかった。残念。
 残念だけど、尾根沿いに伸びる道路を天狗高原(1480m)方向を目指して更に走ることにする。とりあえず典型的なカルストの風景が見られる場所まで頑張ろう。峠の看板には「姫鶴荘6km」とあるので、そこまで頑張ろう。
 でも、走り出して勾配のきつい場所に差し掛かると走る脚力、気力が失せて自転車を押す。酔狼、地芳峠を上りきったことで、すっかり気が緩んでしまっている。押す、走る、押す、走るを何度か繰り返し峠から30分ほどで「姫鶴平」の駐車場(1280m)にたどり着く。車、バイクがたくさん停まっている。
 
 駐車場から見える風景は頭の中のカルスト地形。風が強く寒い。少し下れば、さらに見事な光景を見ることができるんやが、上り返す気力が無い。二百mぐらい先の展望所まで歩いてみたが、やっぱりイマイチ。
 駐車場まで引き返し、「カルスト地形の写真に自転車が欲しいなぁ」と思い直し、少し気力も戻ったので、ほんの1kmに満たない距離を下って自転車とカルスト地形の写真を撮る。これで満足。天狗高原まで行く気力、体力は無い。
P4300084.JPG
 姫鶴平まで上り返すが、横風がめちゃくちゃ強く、走るのも危ないくらい。「姫鶴荘」の食堂で昼食をと思っていたが、そのまま元来た道を引き返すことにする。
 ゆっくりゆっくり尾根沿いの道路を下り、峠からの急坂をさらにゆっくりゆっくり下り、新道と合流し上りで立ち寄った販売所へ。

 

 「お帰りなさい」「ただいま。なんとか姫鶴平まで上がってきました。風が強くて寒かったので逃げてきました。」暖かいうどんと手持ちのお握りで昼食。温まるなぁ~。

 

 「ごちそうさん」

 町中まで下り、コインランドリーで洗濯、乾燥を済ませ、スーパーで買い出しをして車の来ない竜馬脱藩の道(旧道)をゆっくり上り3時過ぎ太郎川公園のキャンプ場へ。フリーサイトの花見広場にはすでにバイクの方のテントが一張り。

 

 テントを張り、すぐ傍にある温泉施設へ。入浴料500円はリーズナブル。

 温泉にゆったり浸かり生き返る。キャンプ場に戻るとバイクが四台増え、それぞれテントを張っていた。「こんにちは。おらん間に一気に賑やかになったね」「よろしく」
 四台のバイクのグループに加え、その後さらに二台のバイクが次々やって来て計7台のバイクと自転車1台。

 

 バイクのグループがテントを張り買い出しに行き帰って来る。バイクはいいなぁ、機動力があって。隣のグループが温泉へ行っている間に夕食、ビール。今夜のつまみはマグロの刺身。
 隣の四人組が温泉に行ってる間に、酔い酔いで日没とほぼ同時にテントに入り寝袋に潜り込む。

 

 夜中、トイレに起きて、戻り、寝袋に潜り込んだが、最後にやってきて四人組とは逆側にテントを張った兄ちゃんのイビキが凄まじく、さらに睡眠時無呼吸症候群が気になって、気になって。あぁこんなことなら「ここにテント張っていいですかね?」と聞かれたときに「広いんやから、遠くにテント張って」と言えばよかった。でも、そんなこと判らんし、酔狼のイビキも自分では判らんしなぁ。

 

 
5月1日。
 快晴。夜露でテントはビッショリ。
 
 朝食をとりテントを片付け、一番乗りで出発。と言っても八時前なので、のんびり出発。
 
 昨日上った旧道をさらに上り(一昨日歩いた道)、トンネルの上で峠を越える。

 東へ。須崎までは基本下り基調なんやが、四万十川の支流を次々と横切るので、そのたびに坂を越える小さな上りがある。ま、国道にはたいていトンネルが掘られているので、純粋な上りはほぼ無いんやが、五日目の脚には少しの上りが堪える。
 最後、四万十川水系から須崎に流れる新庄川水系へ越える布施ヶ坂トンネルはトンネルを抜けず旧道へ。
 ほんの少しの上りで峠の上へ。旧国道の長い下りを下る。
 下り始めてすぐに見事な茶畑。緑が眩しい。

 

 長い下りを、ゆっくりのんびり下る。楽しい。下る、下る。ずいぶん長く下ったように思ったけど、後から地図を読めばわずか8kmほど。長く感じたのは、それだけ急なコーナーが多く、道は狭く、ゆっくりゆっくり下ったんやね。

 

 国道に戻ってからも緩い下りは続き、河口の須崎へ。道の駅に立ち寄り土産物を物色する。「カツオのたたき」のオンパレード。デカい。当然いい値がする。高知と言えば「カツオのたたき」やけど、今はどこのスーパーでも買えるしなぁ。などと思いながら、酔狼の好みで「カツオの刺身」なら迷わず買うのになぁ。でも、刺身は土産物店の店先には並んでいない。

 

 二階の食堂で昼飯とも思ったが、これも酔狼の好みは町の小さな食堂。

 町の小さな食堂を求めて須崎駅や須崎港近くへ向かうが、須崎の名物は「鍋焼きラーメン」なんやと。「鍋焼きラーメン」の幟はあちこち見かけるが、んんんん。

 

 駅の近くでごくごく普通の食堂を見つけ、店に入ると賑わっている。

 生憎、魚料理ではなく普通の食堂。「から揚げ定食」と瓶ビール。あ、鍋焼きラーメンもあり、その注文も多かったけど、迷わず定食で。

 

 ビールがうまい。おそらく家族で経営している食堂やろね。フロアにいるお母さんは一秒も手を休めない。本当に一秒も。いやぁ、ほんと見事にずっと動いている。昼時で込み合っているのもあって料理が出るまで少々時間がかかったが、から揚げは見事にカラッと揚がり、おいしかった。店が賑わうのが解かる。入れ替わり立ち替わりお客さんがやって来る。「相席になりますけど、いいですか?」カウンターでビールとから揚げの昼食は満足。

 

 須崎から国道を避け、海沿いの県道を宇佐に向かい走る。今夜のねぐらはどこにしよう?いいかげんな計画では須崎や宇佐方面へ走ることはまったく考えてなくて地図も持っていない。スマートフォンも持たないしGPSも無いので道の駅で手に入れた観光パンフレットの大まかな地図が頼り。おまけに須崎市から宇佐(土佐市)に入ると、それもおぼろ。

 

 山の中ではさほど感じなかったが海沿いに出たら風が強かった。

 生憎、宇佐までの海沿いにキャンプ場は無く、ホエールウォッチングの表記のある公園にキャンプ場を期待していたが、ここも空振り。広い駐車場は夜になればキャンピングカーや車中泊の車が並びそうやが、まだまだ陽が高い。仁淀川まで足を伸ばすことにする。

 

 風はますます強くなる。

 高知市の桂浜まではもうすぐやけど、海沿いは風が強くテントが飛びそうな感じ。仁淀川の広い河口から遡ることにする。今日は下り基調で短距離と思っていたのに、予定外に距離が延びてしまう。明日まで走って、せっかくなので久しぶりに高知城へ行こうと思って、こちらへ向かったが、仁淀川沿いでテントの張れそうな場所が見つからなければ伊野駅から輪行して帰ることも考える。いや、もう、それくらい疲れているのよ爺さんは。それに地図も無いので伊野の町まで何kmあるのか判らない。最終高知発18時半の特急に乗れば播州赤穂まで帰れることだけは、いい加減な調べで判っている。ええ加減やなぁ。

 

 仁淀川の堤防上を走り、河川敷にテント群がないか目を凝らすが見つからない。しばらく走ると「いの6km」の標識。もうすっかり伊野駅から帰る気になっている。いやぁ疲れた。

 

 15時半ころ伊野駅によろよろたどり着く。今日は短距離と思っていたのに、結局今回で最長の90km余り。昼飯食ってからでも40km余り走ってしまった。我ながらええ加減やなぁ。

 

 播州赤穂へ帰れる最終の一本前の特急が伊野駅発1647。自転車をばらす時間も十分ある。か~えろっ。
 
 自転車をばらし、乾いた服に着替え傍のコンビニで缶ビールとつまみを買う。伊野駅に駅員さんはいるが窓口は常時開いているわけではなく、自販機で岡山までの乗車券と自由席特急券を購入。

 

 特急「あしずり」「南風」と乗り継ぎ、高知を出た所で缶ビールを開ける。酔狼、輪行の際はたいてい文庫本を読むんやが、珍しく活字を追う気力もなく、ぼんやりと車窓を眺めて過ごす。
 阿波池田を過ぎた辺りで、ようやく元気が戻る。岡山で赤穂線に乗るころにはいつもの調子に戻った。
 
 播州赤穂着2119。自転車を組み、サイドバックを付け帰宅したのが22時過ぎ。長い一日やったなぁ。疲れたなぁ。
 この酔狼通信で茶畑の写真以降写真がないが、10時前の茶畑の写真から後実際の写真も一枚も無い。見るべき景色が無かったわけではなく、疲れすぎてカメラを手にする余裕がきっと無かったんやなぁ。

 

 もう少し、というか、ちゃんと自分の体力を考えなあかんなぁ。 
 
 翌日、一日かけてキャンプ道具を干し、雨で泥だらけになった自転車を洗い、掃除。
 ということで反省もし、次のツーリングに向かって頑張ろう。どこへ行こう? 
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