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酔狼通信 287-1
22. 5
 いつものことやが直前になってバタバタとプランをまとめる。

 

 4月30日。始発で東海道新幹線、東北新幹線と乗り継ぎ宇都宮へ。東北本線に乗り継ぎ、昼前に前回の東北ツーリングのゴール矢板駅で自転車を組む。
 駅近くの蕎麦屋で暖かい蕎麦で昼食。酔狼、当然うどん派やけど関東へ来れば蕎麦を食う。
 
 県道、国道、県道と渡り歩き宇都宮を目指す。関東平野の空は広い。
 
 大谷資料館。関西ではあまりなじみは無いが名前だけはよく知っている「大谷石」。
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 資料館は地下の採掘場跡を公開している。広さは150m四方、深さは平均30m、一番深い所は60mにもなる。

 

 一歩、地下に踏み込むと鍾乳洞、秋芳洞の地下ドームを思わせる大きな空間が広がる。様々な色でライトアップして幻想的な空間を作り出している。けど、それにも増して、かつてはこれを人の力で切り出していたという凄さ。
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 採掘場跡を堪能し、すぐそばの多気不動尊を目指す。はい、ご存知のとおり信仰心は皆無。目的はその上の山城、多気城。だが、県道から直登する参道(車道)が厳しい。なんとか走って上がり。不動さんに挨拶して山城歩き。本丸跡から眺める関東平野は壮観。
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この日のコース、農家の蔵は大谷石で造られているし、塀も大谷石で造られている物が目についた。
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 下って宇都宮のビジネスホテルへ。ウィークリーマンション的なところで、部屋の鍵と玄関の鍵を渡され、夜間と休日はフロント(管理人)はいないので、閉め出された場合は電話で呼び出してくれ。但し、その場合は離れた場所から出向くので「罰金5000円」をいただくので注意してくれ。チェックアウトの際は管理人室のドアの小窓に鍵を入れて出ていくように。ゴミは分別して玄関前のゴミ箱に入れるように。だった。

 

 

 5月1日。この日は午後雨の予報。いつものように朝早く出発する。

 本丸の土塁、堀の残る宇都宮城を冷やかし栃木市を目指す。小さなアップダウンを繰り返す。
 栃木市は蔵の町。通りかかった古い住宅の壁に貼られた琺瑯看板に立ち止まったら、偶然そこの御主人が玄関から出てこられた。「写真撮らせてもらってもいいですか?」と声をかけると、庭の戸を開けるからお入りなさい」と家に入り、ぐるっと廻って庭の戸を開けてくださる。
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富士山の溶岩を運んで作った築山
 「この庭は栃木の町で一番古い庭なんですよ」と、あれこれ説明してもらう。なるほど金かかったんやろうし、今も手入れが大変やろなぁ。
 「お気をつけて」「ありがとうございます」で蔵の町並みへ。
 
 嘉右衛門町は重伝建(伝統的建造物群保存地区)に指定されている。
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 県道を西へ。峠を一つ越え、再度、急坂を上り唐沢山城を目指す。この坂はキツカッタ。唐沢山神社の駐車場に自転車を置き山城歩き。ここは関東では珍しい石垣の城。なかなか楽しい城巡り。
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 町中に下って佐野市街へ。今回ロードマップをコピーして走っているので詳細が判りづらい。そして細かな道を走るのが酔狼は好きなので、現在地がときどき判らなくなる。

迷いつつ、佐野城跡も冷やかす。

 手頃な食堂が見つからず、それなら雨が降り出す前に距離を稼ごうと思っていたが、正に昼頃ポツリポツリと雨が降り始める。次第に雨が強くなり、大きな樹の下で合羽を着こむ。合羽を着こんで100mも走ったところで、いい感じの食堂が現れる。

 

 味噌ラーメンで温まる。酔狼が入ったときには客は一人もいなかったが、食べ終えて出る時には五つあるテーブルは全て塞がった。こういうとき、「酔狼が客を呼び込んだ」ラッキーマンと思う。

 

 雨の中を30分余り走って、今日の目的地足利に着く。今回のツーリングは欲張らず距離は制限して、比較的ゆったりした計画にした。前回の東北ツーリングの際は、せっかく遠くまで来たんだからと欲張ってコースを組んだので(宿の都合もあるけど)、かなり疲れた。
 宿に着く前の1時間は、まさに修行やった。今回はその反省を踏まえて緩いコースにした。

 

 「足利学校」日本最古の学校だそうで、平安時代もしくは鎌倉時代に、その歴史は始まるとされているらしい。酔狼、名前だけは知ってた。
 雨も合羽のズボンは脱ぎ、上着だけで歩けるくらいで、なんとか観光。屋内に上がる時にはカッパは脱いで、濡れた靴下は脱ぎ、乾いた物に履き替えた。
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 足利学校を出て、すぐ傍の鑁阿寺(ばんなじ)へ。ここは「足利氏館」として古城でもある。方形の区域に堀を巡らせ土塁で囲んでいる。正に中世館の典型。国宝指定の本堂、重文二件、中世城館としての史跡指定。足利学校よりは、酔狼にとってはこちらの方が楽しい。 
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早々に宿に入り、汗を流しビール。
 2日。
 昨日と打って変わって快晴。通学の女子高生の瞳が眩しい。

 

 渡良瀬川に架かる渡良瀬橋を渡る。酔狼、歌えるほど森高千里の「渡良瀬橋」を知らないが、名前だけは知っている。そう、何でも名前だけは知っている。

 

 通勤の車の多い道を太田市へ。初めての群馬県。走ったことのないのは山形、千葉、沖縄の三県になった。ゼロになるまで走れるかなぁ?

 

 大雑把な地図に、大雑把な計画で道に迷いながら新田金山城に続く道路を上る。峠を上り切り、ここが登城口かなと思っていたら、少し下って、そこからさらに坂を随分上がった所に駐車場があった。朝一番にこの上りは堪える。

 

 新田金山城も石垣の城。唐沢山城よりもすごいと思うが、知名度は低い。あ、当然ここも酔狼が知らないだけの話で、どちらも関東七名城のひとつ(初日の多気城、昨日の宇都宮城も)。
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右:日の池。今まで見た山城の水場の中で一番大きい
あっ、秀吉の小田原攻めの際の石垣山一夜城の方がでかいか?
  太田の町へ下り、まったく現在地が判らぬまま、感で「本町北」の交差点を西へ、「八幡町」の交差点で北に進路を変え、地図を眺めていたら、おばさんに「どちらへ行かれますか?」と声をかけてくれ、長々と、いや丁寧に道を教えてくださる。傍から見たら「道に迷った爺さん」なんやろなぁ。

 

 教えられたコースを進み、ようやく現在地を把握した酔狼は調子に乗り、また地図では確認できない用水路沿いの細い道路に入り嬉々として走る。この道は良かった。

 

桐生市に入り「彦部家住宅」重要文化財。

 ここは敷地内にまだ住んでおられ、ご主人が丁寧に案内説明してくださった。敷地は130m、160mの方形で足利氏館同様、中世城館の構えをしており、堀、土塁で囲われている。これまた楽しい。庭に沢山の木々が生い茂り、案内中にコゲラの姿が見えた。
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​右:丸い河原石を使った石垣
 桐生新町、ここも重伝建に指定されている。桐生は織物の町。絹の町。鋸屋根の工場が立ち並ぶ。
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 町中を散策中、サイクリング中の地元の方に声を掛けられ、しばし談笑。お勧めの食べ物を尋ねると「ソースカツ丼」を勧められる。

 

 街を巡るうち、古い食堂「五十番」を発見。店先の食品サンプルの横に「ソースカツ丼」の文字。
 店内は外観同様、古い造り。老夫婦が切り盛りされている様子。「ソースカツ丼」を頼み、「ビールありますか?」と尋ねると「ビールは置いてません」との返事。確かに壁に貼られたメニューに酒類は無かった。
 おじさんが一人で厨房を切り盛りしてるんやろね。客の注文の度に必ず「時間かかりますよ」の一声。

 

 15分ほど待って運ばれてきた「ソースカツ丼」の蓋を開けてビックリ。カツが五枚。いや、これ多いやろ?他のテーブルに運ばれてくる他のメニューを見ても、全部ボリュームたっぷりやったから、予想はしたけど、多いやろ~

 

 ソースカツ丼はおいしく、完食を目指したが最後の一枚は食べきれんかった。ビール飲んでたらきっと半分くらいしか食べれんかったやろな。ビールが無くて良かったと思ったのは初めて。
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 満腹の腹をかかえ岩宿博物館、岩宿遺跡を目指す。岩宿遺跡は日本で初めて旧石器時代の遺跡が発見された場所。酔狼、最近こうしたことにも興味の矛先が向いている。

 

 遺跡や博物館の周辺は広い公園になっていて、風爽やか。自転車を置き、博物館へ。前の広場に綺麗なおねぇさん三人(クレヨンしんちゃん風に)。その先の博物館の入口に嫌な予感。そう「閉館中」。

 

 今日5月2日は役所的には平日、日曜開館明けの平日の月曜日。閉館は通常業務。そう、通学の女子高生の瞳が眩しいなどとホザイテいる場合ではなかったんや。

 

 おねぇさんたちに「閉まっとうわ」と声をかけ「え、閉まってるんですか?」「その先のドーム(発掘現場)もだめですかね」「ダメもとで行ってみるわ」と歩いてみたが、当然そこも閉まっている。
 博物館まで引き返すと、まだおねぇさんたちがいたので、「ここへ来た証拠に別嬪さん三人撮っとこ」とカメラを向けると、しっかりポーズを作ってくれた。
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 しばらく馬鹿話をし、あちこち時間つぶしのお勧めの観光スポットを考えてくれる。「前橋で泊るんなら、たくさん飲む所ありますよ」「いや、おっちゃん、昼間の疲れで8時頃には寝てしまうから」で大爆笑して別れる。ありがとね。

​ 前橋市街に向かう途中に大室山古墳群。前方後円墳がいくつか並ぶ。皇室指定されていない古墳は立ち入ることができる所が多く、ここも古墳に登れ、妙に楽しい。
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 早々に宿に入る。今日のビジネスホテルには天然温泉の大きな風呂があるので早い時間に汗を流し広い風呂で羽を広げる。ビールがうまいっ!
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