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酔狼通信 278-1
20.11
 GWに九州を走ろうと計画していたら、新型コロナウィルスの流行があり断念した。その後も、いろいろと計画は練るが実現せず、10月末になって今年初めての泊まり掛けランが実現した(キャンピングは三回やったが)。
 
 勤労感謝の日の祝日を絡めた三連休。仕事のスケジュールを見ると、前後も休めそう。よ~しっ!休もう!走ろう!ということで、出発の一週間ほど前になってバタバタと計画を練り上げた。
 
 11月19日。始発列車で一旦姫路へ出て、下りの新幹線で小倉まで。新幹線の大型荷物の予約を初めて利用した。小倉で日豊本線の特急に乗り換え大分まで。
 
 自転車を組み、11時前に走り出す。すぐに府内城跡。本丸内は現在立ち入り禁止。外周をさらっと眺める。
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 さあ、サイクリングと思ったが暑い。ウィンドブレーカーを脱ぎ、下は短パンに履き替える。今回のツーリングは連日11月とは思えぬ暖かさやった。出かける前の播州赤穂周辺でも、すっかり冷え込み、もう短パンの出番は無くなっていたが、天気予報を見て出発直前に短パンを荷物に入れたが連日大活躍やった。
 
 市街地を抜け、強い追い風に助けられて佐賀関を目指す。途中、関アジ丼で昼食。ビールは我慢。
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 時間がありそうなので、豊後水道に突き出た関崎を目指す。いい加減な計画で頭にしっかり入っていなかったが、坂がきつかった。
 突端近くから灯台まで歩く。海が綺麗や。灯台からの帰路、砲台跡へ。豊後水道の反対側、四国の佐田岬にも太平洋戦争の遺構があったが、九州側にも残っている。
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 灯台近くから海岸線に降りると、更に風が強く波が荒い。海面から近い道路に「越波注意」の標識があると思ったら、その先の道路が正に波に洗われている。波の合間を縫って走り抜ける。
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 その後は強い向かい風に苦しみながら、佐賀関、そして臼杵までヘロヘロで走る。余裕こいて関崎へ足を伸ばしたことを少しだけ後悔する。
 
 臼杵城。いつものことやが、「調べ過ぎない」がポリシーやけど、今回も我ながら呆れるほど。岩盤を穿って造った登城路。うわぁ、楽しいなぁ。
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そして、これも知らなかったが、古い町並みもえぇなぁ。
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 20日。
 週間予報ではこの日「雨」だったが、うまいこと夜のうちに降ってくれた。
 
 早朝、出発。臼杵城、古い町並みを抜け、臼杵石仏を目指すが、「臼杵大仏」なんていうバッタモンに惑わされ、ウロウロ。なんやねん、これっ!って、ちゃんと下調べしとけっちゅう話なんやが。
 で、ようやく臼杵石仏へ。20代、初めて九州を走ったのが大分国東半島。そのとき熊野磨崖仏へ行った。その時にはすでに臼杵磨崖仏を知っていて、興味はあったので、かれこれ40年来、心のどこかに「臼杵磨崖仏」があった。ようやくの御対面。今回のメインテーマの一つ。
 今は保存のため、覆屋が設けられているが、40年前にはそれも無く、その時見たら、また感じは違ったんやろけど、酔狼もさすがに40年経てば感じ方も変わっているので、それを言っても始まらない。
 
 ん~、何がすごいか、ちゃんと言葉では表現できないが、すげぇなぁ~。
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 国道を離れ県道を抜ける。
 
 地図を眺めるうちに「石造九重塔(重文)」「キリシタン墓地(国史跡)」の文字が目に入る。行ってみよ。県道から少し入り「九重塔」。ちょいと引き返し一旦国道10号へ出て、そこから「キリシタン墓地」へも寄り道。

 国道10号に戻り、502号との分岐のコンビニで昼食の買い出し。小さなアップダウンを走り、三重川にかかる古い石のアーチ橋、虹澗橋(こうかんきょう 重文)。九州でよく見られる石橋。昔の人はすごいよなぁ。
ヘッディング 6
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 舗装されてるから以前は車も走ったんやろなぁ。すげぇなぁ。
 今は車の入れない橋の上で弁当を食べ始めたら地元の人が話しかけてきた。この橋をかつてはバスが走ったそうや。話をするうち、同年齢と判り、地元のおじさんは自転車旅行のおじさんに妙に興味を持ったようで、「今日はどこに泊るの?」「佐伯のどの宿?」「明日なら佐伯に11時頃行けるけど、何時頃出発する?」等々。自転車旅なので朝食食べたら、すぐ出発しますよ。残念。
 
 食事前も食事中も、ここから国道10号に戻り、そのまま佐伯に行こうと思っていたが、走り始めたとたん、「峠(480m)ひとつ越えたら後は下りやから」とあっさり気が変わる。
 502号をそのまま進み三重町の町中から県道35号に入り、車一台通るのがやっとの細い道を上る。車のほぼ来ない、えぇ道やったが思ったよりきつかった。なんとかかんとか上り切る。
 
 峠の上は冷えるので、短い休憩で長ズボンに履き替え、ウィンドブレーカーを着こみ、手袋も着けて下り始める。
 下りも上り同様道路は狭く、上りでは目立たなかった落ち葉が路面に積り、濡れた路面で滑りそうやし、左手の川側にはガードレールも無く、転んで落ちたら大怪我するなと、本当にそろりそろり、山側を下る。路面から落ち葉が少なくなる所までの10km足らずが30分もかかってしまった。こんなにゆっくり下ったのは記憶に無い。
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 道路幅が少し広がり、路面もよくなって、ようやく楽しい下りに。楽しい下りやけど、脚はもうパンパン。長い下りの後、佐伯市街は裏道を使い佐伯城。
 標高144mの山頂まで登る。慶長期に造られた城なので、山城ではあるが総石垣の城で、山頂に広がる曲輪は見ごたえ十分。しかし、走り疲れた脚には堪える。
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 下って武家屋敷町を抜けて宿へ。洗濯、風呂、ビール、夕食、ビール、缶酎ハイで就寝は毎晩続く。
 
 
 21日。
 宿の朝食は8品で量もたっぷり、朝食付き一泊6500円のビジネスホテルとしては驚くほど豪華やった。そしてとても美味しかった。
 というわけで気分よく、この日も出発。と思ったら前輪がパンクしている。ホイールを外し、タイヤを外し、チューブを取り出し、ポンプで空気を入れるがパンクした場所は判らなかった。というわけで予備チューブと交換。
 汚れた手を洗い気持ちを入れ替えて出発する。南へ向かう国道と県道、どちらを走ろうか迷っていたが、ロードマップに「快走路」とある国道388号を走る。じわじわ上って170mほどでトンネルを抜け海岸線に下る。
 
 海岸線に出て、どこかで休憩をと思いつつ走ってたら、民家の倉庫に「太鼓工房」の看板。そして人のよさそうな爺さん。迷わず「見せてもろてえぇ?」で休憩。
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 倉庫の前もそうやったが、中にも所狭しと色んな道具が置かれていて、太鼓に皮を張る道具も色々。直径60cmくらいの物まで作るそうや。それに神楽の面も彫るし、倉庫の隅の木工旋盤使ってコケシも作るし、硯石も彫るとか。今はやめたけど釣り竿やルアーもたくさん作ったそうや。
 そして酔狼が思った通り本職は他にあり、これらは全て趣味でやっている。「飲んで」とオロナミンCを持ってきてくれたお婆さんに「大変やね。」と話しかけたら苦笑い(呆れ笑い)していた。
 
 お爺さんの話は延々続き、止まることを知らない。随分長く休憩させてもらって、ありがとうと礼を言い、「お元気でね」「気を付けてな」とご夫婦と別れた。
 TVの所さんの「ダーツの旅」、第一村人発見!って感じやった。
 
 酔狼、ツーリングではけっこう、海産物を土産に買って家に送るので、道々、店を覗く。関サバ、関アジ、臼杵はフグ。この辺りは檜扇貝が名物らしい。伊勢エビもあって、幾らぐらいするのと尋ねたら「1Kg、一万円くらいですね」って、いや、その1kgがどれくらいか判らんやん。て、小ぶりな物が4、500gかなって。やっぱ、高いんやなぁ~
 
 しばらく走って、旧蒲江町の中心を過ぎたあたりで覗いた道の駅風の店には食堂もあって、10時半の開店前に10数名の行列ができている。先頭付近に並んでいる人に「何が美味しいんですか?」と尋ねたら、「限定20食の『伊勢海老づくし』があるんですよ」とのこと。店内を見て回るうちに食堂が開店し、行列が店になだれ込んだ。
 食堂を覗くと、伊勢海老づくしは3300円。うわぁ、やっぱ高いんやぁ。昼飯に3000円はよう出さんなぁ。朝食たっぷり食べて、まだ腹も減ってないし、この先どこに食堂があるか判らんからなぁ。
 近くのコンビニで320円の海老カツバーガーを買って、持って走ることにした。
 
 その先で国道を離れ、海側の県道を走る。波当津海岸の松林でサーフィンを眺めながら海老カツバーガーを食べる。これは美味しかった。
 
 波当津海岸からけっこうな坂を二つ越え宮崎県に入る。
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