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酔狼通信 296-2
24.05
「24年GW  四国東半周 後編」
 3日。
 朝日を待ち、テントを少し乾かし荷造りをする。
 キャンプ場で出会った皆さんに挨拶をして出発する。

 小さな坂を越え、日和佐の町へ。二十三番薬王寺。門前をかすめ(あくまで無信心)国道を少し走り、海岸近くの南阿波サンラインへ。三度目のこのコース、きつかった記憶があるが、いきなりの上り勾配9%の標識に、少し気持ちが折れる。次いで10%の標識。
 なんとかかんとか、頑張って上る。トンネルを抜け海岸沿いに出る。第一展望台で小休止。太平洋が気持ちいい。バイクはけっこう走るが車は少なく快適。
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 小さなアップダウンを繰り返し第四展望台で再度小休止。駐車場に入ったときに見かけた軽四のお爺さんが、後ろからやって来たと思ったら「Hello」と声を掛けられた。白髪のお爺さんと思ったら見事な銀髪の西洋人!スイスの方で奥さんは土佐山田の方だそうだ。日本に住んでおられるわけではなく、ここも目茶苦茶な英語で、甥が一昨年日本に来て北海道から、あれっ?どこまでやったかな?日本を走ったこと、ご自身もスイスではサイクリングを楽しんでおられることなど話し、「エンジョイ・サイクリング」「エンジョイ・ジャパン」と別れる。

 第四展望台の手前だったかな?上りの途中、二台のバイクが轟音とともに追い越していった。その瞬間、山の斜面にいた猿の群れが大声で啼き出した。怖~。猿が一番怖いなぁ。

 南阿波サンラインを抜け、牟岐の町中を抜ける。見たような街並みと思ったら、NHK-BSの「こころ旅」で見たんや。

 この日も陽射しが強い。コンビニで日焼け止めを買う。
 海陽町でも国道を避け脇道へ回り込む。海部駅で休憩。高架下で休憩していたら、ちょうど列車がやって来たのか踏切の警報音が聞こえてきた。

 慌てて高架上のホームへ。すぐに列車(?)がやって来る。
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 写真では判りづらいが、世界初のDMV(デュアル・モード・ヴィークル)と言われるシステムで、バスのように見えるが、正にバスで、一般道はタイヤ走行し、写真では鉄製の車輪を出し線路上を走っている。

 少し走った「道の駅 東洋町」でまた休憩。店を覗くと三貫だけのマグロの寿司があったので、時間は早いがこれを食べる。休憩中にDMVがやってくる。今度はタイヤ走行。

 ここから室戸岬までは約40km。ほんの小さなアップダウンがあるだけだが、前方に見える岬を廻れど廻れど次の岬が現れる、酔狼は大の苦手なコース。以前走った際に、妙に疲れた記憶がある。
 連休後半に入り車、バイクの通行量が多いが道路は広く、まあ大丈夫。

 佐喜浜で喫茶店を見つけたので昼食。店内に昨年亡くなった大相撲の元大関朝潮の写真がある。そう言えば高知の出身だったなと思い店の方に尋ねると、正にこの集落の出身で、浜の方、四軒先にお父さんが今も一人で住んでいるとか。現役時代は大いに盛り上がったそうだ。今は人も減り、近くの小学校も全校生徒合わせても私たちのときの一学年にも届かないと嘆いておられた。

 室戸岬に向かう途中に昨日若いご夫婦に教えてもらった「むろと廃校水族館」
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 車、人の多い室戸岬はスルーして、と。

 今回のサイクルキャンピングも当然ながらキャンプ場の予約は一切無し。出たとこ勝負。今夜のねぐらは室戸スカイラインを上った夕陽が丘キャンプ場と思っていたが、昨日のキャンプ場の今日3日以降の予約状況を考えると最高地点240mの室戸スカイラインを上ってキャンプ場が満杯だったときのショックを怖れて電話してみることにする。
 が、電話番号もメモしていない。携帯電話も持っていない。ようやく公衆電話を見つけ104・番号案内で「室戸市の夕陽が丘キャンプ場」を問い合わせるが、「夕陽が丘キャンプ場」では登録されていないと言う返事。諦めて先へ進むことにする。酔狼通信を綴りながら確認したら「室戸岬夕陽が丘キャンプ場」という名前やった。酔狼のキャンプは野宿の延長なので、テントを張れそうな所を探しながら半島の西側を北上する。
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吉良川の町並み
雨の多い地方で藏や建物の壁に何段にも付けられた「水切り瓦」が印象的
 吉良川の町並み、明日の朝ゆっくり探索したいところやったが、今日はそんなゆとりは無い。

 途中、二軒の遍路宿で空きはないかと尋ねてみたが、GW、もちろん満室。
 奈半利、田野、安田と通り過ぎ距離は120kmを越え、とっくに限界は過ぎている。走りやめたら、そのまま眠ってしまいそう。最悪、道路沿いのお遍路さん用の休憩所で寝袋広げて寝よう。どこでも寝れるように食料とビールを買い込む。

 安芸市に入った先の大山岬に新道のトンネルができている。経験上、これはチャンスと旧国道を走ると旧国道のさらに海側に、もうひとつ古い道がある。
 旧旧道と旧国道の合流点近くの公園の隅をねぐらに決める。幸い付近に民家は無い。釣り人の車が数台、旧旧道に停まっているだけ。
 とりあえず、酔っぱらって寝たもの勝ちとテントを張る。16時半。まだまだ明るいが体力は限界。さっさと夕食を食べビールを飲んで寝袋に潜り込む。この日のビールの味は覚えていない。
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 夜が更けるにつれ旧国道を走る車も無くなり、静かな夜。朝までぐっすりとはいかないが(年寄りは小便に起き、その後すぐには眠れない)、疲れは充分取れた。


 4日。
 昨日、距離を伸ばし過ぎたせいで、今回の最終目的地高知市まで残った距離も60kmほど。頭の中の予定では、途中のキャンプ場を考えていたが、高知市内浦戸湾の種崎千松公園キャンプ場まで行って、たぶんかなり賑わっているだろうから、気分が乗らなければ今日帰宅することも考えて走り出す。
 数km走って伊尾木洞。伊尾木洞は海食洞の奥に渓谷が続くところで、酔狼は「こころ旅」でその存在を知った。今回唯一是非訪れたかった場所。恵比寿洞や吉良川の町並みは再訪になるので訪れたかった場所ではあるが一段ランクは下。
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入口の海食洞、ただし写真は奥側から
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海食洞の奥に続く渓谷、手前は砂岩の浸食、さらに奥は礫岩の浸食により深い谷ができている。海食洞と合わせ、どちらも神秘的。
 伊尾木洞、駐車場奥にある管理棟で長靴の貸し出しをしていて各サイズの長靴が置かれていた。これは親切。有難かった。大雨の際には立ち入り禁止になるそう。

 渓谷の奥の滝までの散策はちょとした探検気分。いやぁ、実に楽しい。この楽しさを伝えられないのが残念。

 安芸市の市街地に入り少し内陸に。
土居の野良時計
明治時代、地主が時計を据え付け、時計を持たない農民に時刻を知らせたとか。
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 すぐそばの土居の武家屋敷や安芸城址を散策。

 安芸市の先は主に海岸沿いに続くサイクリングロードを走る。でも部分部分修復工事中で国道との間を行ったり来たり。
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 夜須町(現香南市)手結港可動橋。この橋は一日のうち7時間だけ通ることができ、それ以外は橋が跳ね上がり通れない(実際は小さな手結港を回り込めば乗用車なら通行可能)。

 着いた時には橋は通行可能だったが、時刻表を見ると20分ほど待てば橋が跳ね上がるのを見られるようや。今日はまったく急がないのでベンチに腰掛けのんびり待つことにする。
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 橋の動作する時間が近づくにつれ、車やバイクが増え小さな港はほんの一時、少し賑わってきた。あ、皆さんちゃんと下調べして来るんやね。

 やがて10時になり、道路上の遮断機脇の警報機が鳴り始める。遮断機が下り道路を閉鎖する。橋が片側を支点に持ち上がる。約6分で橋はほぼ垂直にまで(検索したら70度だそう)跳ね上がり、水路にある信号機が赤から青に変わる。
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しかし通る船は一隻も無い。それに橋が邪魔になるほど大きな船は一隻も泊まっていない。
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道路から見ると、まるで大きな壁
少し走って天神の大杉。
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そして五月連休、高知と言えば鯉のぼりと共に揚げられるフラフ。
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 物部川を渡り高知市内へ、空港をかすめ、砂丘上に続く集落の中の道を走る。どこかで昼食をと思っていたが、5kmほど家並みが続く道路沿いに食事のできる所は一軒も無かった。砂丘下の新道沿いにはコンビニや食堂もあったようやが、砂丘上に続く町は面ではなく線でしかなく、今や店舗は成立しないのかもしれない。

 空腹のまま種崎地区へ。途中買い出しのできるスーパーを確認し種崎千松公園キャンプ場へ。駐車場はほぼ一杯。松林の中、かなりの数のテントがある。それでも広い松林の中、快適に過ごせそう。ここに決定。

 自転車を置くとすぐに同年輩の方が話しかけてこられた。以前はサイクリングをやっていたけど、今は億劫になってやっていないとのこと。歳を重ねられても楽しんでいるのはいいですねと言われるので、志度でお会いした79歳の方たちのことを話し、是非またサイクリングを楽しんでくださいと伝える。

 テントを張り、2kmほど引き返し昼食とビールの買い出し。店員さんにコインランドリーは無いかと尋ねたら、以前はあったんですけど今は、との返事。洗濯は諦める。ま、下着一組は帰りの交通手段用に使わずに持っている。
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 キャンプ場へ引き返すが、別の入口から入ったので松林の中、自分のテントを探すのに一苦労。
 昼食、ビール。ビールが美味い。
 
 濡れタオルで体中の汗を拭いて、恵比須浜キャンプ場同様ほろ酔い気分で時間を過ごす。
 
 明るいうちに再度スーパーに走り、夕食、酒、朝食の買い出し。さすがに二度目は自分のテントの位置はすぐ判った。
 
 デイキャンプのグループ、家族も多く、夕方にはテントの数は減った。数えたわけではないけれどそれでもテントの数は百に近いぐらいあったんじゃないかな。
 
 種崎千松公園、キャンプ場とは名付けてあるが、松林に広めの駐車場があるだけで、テントの数に比べてトイレも少なく、炊事場、かまども一か所数点だけ。地面での直火は論外やけど、何もかも準備しておかないと楽しめない感じ。まあ、無料のキャンプ場なので多くを望むのは無理か。テントの数は多くても大きな松の木がテントとテントの距離をキープしてくれて快適やった。
 
 夕食、ビール。またまたビールが美味いっ!
 
 
 5日。
 急ぐわけではないけれど、寝るのも早いから日の出の頃には起きてしまう。
 コーヒーを淹れ朝食。テント、道具を片付けパッキング。

 すぐ傍の種崎港渡船場へ。
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  酔狼、渡船は大好きなんよね。車の旅ではこうした楽しみはないからね。自転車ならでは。
 ここ種崎と対岸との間には公園近くから浦戸大橋が掛かっていて、前回走った時は渡船の時刻が合わず、橋を渡って桂浜へ行った。県営渡船で人、自転車、原付バイク、125cc以下の自動二輪は無料。
 ジャストタイミングで渡船は出航。3分ほどで対岸の長浜渡船場へ。

 で、一応桂浜を目指す。海岸の道路に出ると太平洋が大きく広がる。観光名所の桂浜の近くまでは行ったが、一つ坂を越えるのが嫌で高知市中心部へ向かうことにする。
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 高知城へ。大手前通りは日曜市だとかで大勢の人だかり。
 三度目、四度目か?の高知城をさっと流し、大手前通り脇の「ひろめ市場」へ。
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 ひろめ市場の中へ入ってびっくり。まだ9時過ぎだというのに市場内のテーブル席はほぼ埋まり、海鮮を肴にジョッキを空ける人で大賑わい。いや、すでに盛り上がっている。
 酔狼には11時ルールというのがあり、サイクリング中11時まではビールを飲まない(えへん!)。海鮮売り場を冷やかし、家に馬鹿でかい文旦を送ろうと思ったら、店のお姉さんが「文旦はもう季節が終わっていて、今並んでいる物は当たり外れがあるから、『小夏』の方がお勧めですよ。」と勧めてくれたので『小夏』を家に送る。

 高知駅バスターミナル。岡山行きのバスに空席があるか尋ねたら空席はあるとのこと。自転車を入れた大きな袋を荷物室に積めるか尋ねると満席に近い状態なので今確証は出来ないというので料金の安いバスは諦めJRの特急で岡山まで戻ることにする。

 駅前で自転車をばらし袋に入れる。サイドバッグ二つとサドルバックが重い。

 キオスクで「かつお飯弁当」と缶ビールを買い列車に乗り込む。11時も過ぎ、11時ルールもクリアしたので、発車後すぐに旅の無事に感謝しつつ乾杯。

 さあ、次のプランは?


 追記
 早い時間に帰路についたので午後早い時間に瀬戸大橋を列車で渡った。こんなに明るいときに瀬戸内海を眺めるのは初めて。綺麗やなぁ。
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