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酔狼通信 303
25.06
「峯方峠 三度」の巻
GWに仕事場の仲間が信州戸隠へ行った。その後、他の仲間に「この季節、戸隠から西へ、白馬へ抜ける峯方峠のトンネルを抜けると、トンネル出口の景色が一気に大きくなり、残雪の北アルプスの眺めが凄いよ」という話をした。
そうや、峯方峠へ行こう。「走れるうちに走りたい所へ行っとけよ」天の声が聞こえた。
6日。
新幹線、中央西線と乗り継ぎ松本から更に聖高原駅まで。
自転車を組み走り始めて数秒の駅前食堂で昼食。
腹を満たし走り始めるとすぐに峠の上り。標高差350m、距離ほぼ7kmの猿ケ馬場峠を越え、急坂を姥捨駅まで下る。
篠ノ井線の利用は特急ばかりで、普通列車しか停車しないスイッチバックの姥捨駅は初めて。特急列車は姥捨駅のわきの本線を素通りする。
姥捨駅は「日本三大車窓」のひとつ。眺めのいいホームには〇〇鉄の方が一人ベンチで景色を楽しんでいる。
小鉄ちゃんの酔狼はホームからの眺めもそこそこに、再度急坂を下り、「田毎の月」と呼ばれる棚田へ。歩いて棚田を散策。

下って稲荷山から長野市街へ。
時間もあるので、宿の近くの善光寺へ。
早々に宿に入り、汗を流し、ビール、洗濯、早い夕食、ビールで早々に寝るのはいつものパターン。
7日。
天気予報は期待通り晴れ。8時前には走り始める。宿の確保の都合もあり距離は抑えたコース取りなので余裕。国道406号をひたすら西へ。じわじわと、そして時折きつい上りが続く。それよりも裾花川沿いの406号はトンネルが多く疲れた。
天気がいいのは嬉しいが、朝から暑い。短い休憩を繰り返す。
20kmほどで鬼無里(きなさ)へ。んん?20kmしか走ってへんのか?
今回のメインテーマ、峯方峠へは89年、 とHUCCのOBランで二度走っていて、過去二回は戸隠から大望峠を越え鬼無里へ下って来たが、今回は長野からの直接コース。コースとしては戸隠からがお勧め。って、もう何も覚えていないけどね。
鬼の無い里と書いて「きなさ」なんとも旅心をくすぐる地名や。平成の大合併で今は長野市になっているけど、かつては鬼無里村。川沿いにダム、4ケタ国道にトンネルが多いことから、かつては他の地域とは隔絶された里やったんやろなぁ。

鬼無里の中心部からは川沿いの緩やかな上りに変わる。トンネルも無く、上り返しも無いぶん快適。
「白沢洞門 2.4km」の標識。あ、峠のトンネルは「白沢洞門」なんや。どうやら峯方峠は別名「白沢峠」でもあるらしい。峠の両側で呼び名が変わるのはよくある話。
余裕で白沢洞門へ。記憶の中では長いトンネルやったが、予想に反して短い。トンネルの入り口から、すでに向こうの景色が見えている。あ~、記憶ってホンマにえぇかげんやなぁ。
それでも自転車で進むと出口の景色が次第に大きくなり、思わず息を飲む。初めてのときには「うわ~っ」と声が出た。息を飲んでへんやん!そのころはまだトンネル出口のコンクリートの覆いがなく、トンネル内からは半円の景色が広がった。
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余裕をもって上ったつもりやったが、写真を見ると、どこからどう見ても「くたびれ果てた爺さん」
過去の二回はサイクリング仲間だけの独占やったが、今回はバイク、車が数台。ここはサイクリストだけのものやったが、いつまでもそういうわけにはいかんか。
ちなみに、ネットで「峯方峠」で検索すると、サイクリングにまつわる記事が上位を占める。

00年のOBランで大望峠で本体と別れ峯方峠を越えた。
残念なことに両サイドの先輩二人は亡くなられた。
しばし時間を過ごし、名残惜しいが(なんといっても、ここまで上がってくるのは大変)急坂をゆっくりゆっくり下る。下り始めは片側断崖やが、神城への分岐辺りからは森の中、勾配も緩くなり快適な下りになる。下りきるのが惜しいなぁ。
下りきって、白馬の駅前で昼食。蕎麦、ビール。今夜は白馬泊りなので、午後はどうやって時間を過ごすか。

国道148号を少し下ったところから激坂を上り青鬼集落へ。重要伝統的建築物群保存地区。民家、棚田などが保存地区に指定されているが過疎化により、もはや維持が難しくなっているように見えたのは残念。

青鬼集落
急坂を下り、旧国道を白馬方面に引き返す 。緩い坂を上っていると、三脚を立て田んぼ越しに残雪の山を撮影しているおじさんを前方に発見。
オジサンはいわゆる「撮り鉄」さんやった。あと五分ほどで休日限定の「ふるさと」がやってくるそう。風が無ければ水を張り田植えを終えた田んぼに残雪の山々と列車が映り込んだいい写真になるんやと。
酔狼、時間はたっぷりあるので、雑談しながら「ふるさと」を待つ。
オジサンのメモした通過時刻より少し遅れて、すぐ先の踏切の警報機が鳴り始め、やがて列車が現れた。

列車が通り過ぎた後、オジサンは一眼レフデジカメで今日撮った写真の数々を見せてくれる。そしてスマートフォンを取り出し、過去の写真を次々と見せてくれ、酔狼に別れの挨拶をする隙を与えてくれない。
ようやくオジサンから解放され、白馬駅前まで引き返す。
国道から50mほど上った白馬八方地区に今夜の宿、まだ少し時間が早いのでそこからまた森の中の緩やかな道を二股橋までのんびり走る。
早々に宿に入り温泉、洗濯、ビール。うつらうつらするうちにボリュームたっぷりの夕食、ビール。
8日。
たっぷりの朝食を食べ、今朝も8時前にはスタート。ゆっくり下って国道に出たら、青木湖への上りをこなせば、今日はほぼ下りのコース。
分水嶺手前に姫川源流自然探勝園。ちょいと寄り道。

国道に戻り、少し上って青木湖、中綱湖、木崎湖の仁科三湖の旧道へ。83年に木崎湖の民宿に泊まったが、これも何の記憶もないし、湖畔にそれらしき面影の建物も無い。ま、40年変わらずにあるほうがオカシイか。
下って大町。 最初のHUCCのOBランの際には松本から安曇野を走り木崎湖で泊った。地図を片手に脇道を右へ左へ先導してくれた門岡さんのコースを逆から辿るのが今日のプラン。大町から国道を離れ、かつての千国街道へ。前回寄った山岳博物館を尻目に見て、「国宝」の案内板に魅かれその先の仁科神明宮へ。
県道を池田、田舎道を縫い穂高の町の碌山美術館。但し見学はしない。83年の際も酔狼は出口のベンチで楽しく昼食を食べただけ(見学した者もいたハズ)。
穂高の町中は「わさび店」がいっぱい。安曇野はワサビの産地。大王わさび農場へ。観光客でいっぱい。入場は無料やが、様々なレストラン、売店、土産店で金を落とす作戦。


わさび田は黒い寒冷紗に覆われ何が何やら

ここからもかつてのルートを辿ろうとするが、新しい道路がたくさんできていて、かつてのルートが判らず断念。空腹をこらえて松本の町を目指す(昼食でビールが飲みたいだけ)。
松本城を横目に眺め、傍にある旧開智学校へ。最初に訪れたときは営業時間をほんの少し過ぎていて、二度目は改修工事中。三度目の正直で旧開智学校へ。そう、酔狼、学校は大嫌いやが、こうした古い校舎は大好きという、ゆがんだ性格。

ささっと見物し松本駅へ。自転車を輪行袋に入れ乾いた服に着替えて遅い昼食。ビールがうまいっ!
播州赤穂駅で疲れた体に鞭打って自転車を組む。天気にも恵まれ無事完走。感謝。
今回のメインテーマ、峯方峠は酔狼の「また走りたい所リスト」のかなり上にあったコース。リストにはまだまだ残っているし「走ってみたい所リスト」もあるので、さぁ次のプランを。
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